この巨大なライブスポーツトーナメントの照明機材に関する計画を立てる際、照明デザイナー、アントン・ウィーバーのチームはクリエイティブについて多くの課題に直面しました。モンペリエにあるモンペリエ・アリーナ(Sud de France Arena)のサイズは60 x 30 m (196 x 98 feet)で、さらに選手とコーチ用のスペースと選手が演技の前後に待機するスコアリングコーナーがあります。イベントの間、すべて合わせると70 x 35 m (230 x 115 feet) の巨大な面積に照明を均等に当てる必要がありました。5,000名以上の観客に対してだけではなく、世界選手権を放送するテレビカメラに対しても感動的なライブショーを演出する必要がありました。ARRIのサポートにより、ウィーバーと彼のチームは、このイベントには88機のARRI SkyPanel S360-C 照明機器が必要だと判断しました。非常に重要なことは、選手と観客のいずれに対しても照明がまぶしすぎないようにすることでした。これがARRIを選んだ理由です。SkyPanelは何分間直視しても問題ないのです。」とウィーバーは言います。
この大量の照明機器は3月21日のワールドカップの開会式の2日前に設置を行いました。アイスリンクの頭上16.5 m (54 feet)の高さに設置されたSkyPanelはそれぞれ長さ70m (230 feet)の柵(traverses) 7本と35m (115 feet)の柵2本に取り付けられました。技術的な設定は数時間以内に完了しました。照明コンソールでSkyPanelは丁寧に調整を行い、増強装置(intensifier) を使用して2,000 luxの光量に設定しました。結果は驚くべきもので、アイスリンク上の選手からの影は一切なく、また中継テレビカメラに合わせた自然な肌色など、選手と観客にとって完璧な照明条件を実現しました。ウィーバーと彼のチームは、色彩変化やレインボー効果を使用してこのイベントの照明を特別なものへと作り上げました。すべてのSkyPanelは11日間、毎日15時間稼働しました。「ARRI製品の信頼性は本当に素晴らしいです。」とウィーバーは述べます。
照明デザイナーのアントン・ウィーバーはこれまで注目のプロジェクトを担当した長いキャリアがあります。オーストリア、インスブルックで生まれ、40年以上パリで生活しています。当初、彼は主に映画業界で働いていましたが、コンサート、スポーツイベント、テレビ番組へと移行しました。彼の心に残っているのは、フランス人作曲家および演奏者であるジャン・ミシェル・ジャールが1990年代に行ったオペラ『トゥーランドット』のオーストラリア、シドニーのオリンピックスタジアムでの公演、カナダ、モントレオールでの公演、そしてヨーロッパツアーです。2012年には、ウィーバーはフランス人シンガー「Zaz」のヨーロッパコンサートツアーを担当しました。またロンドンで開催された2017年世界陸上競技選手権大会、パリで開催されたバスケットボールのオールスター・ゲーム、そして2018年インスブルックで開催されたIFSC世界選手権の照明を担当しました。さらに彼はフィギュアスケートが専門であり、ニースで開催された2つの世界選手権の照明機器の設置を行ったり、国際的なアイススケートショーのアイスリンクの照明を定期的に担当したりしています。さまざまなプロジェクトにおいて、彼は常にARRIの照明機器を選択してきました。「他の車ではなくベンツを買えば、その性能は一目瞭然です。私にとって、ARRIの機器を使用することはそれと同じことなのです。自分が望むことがすべて実現できると100%の信頼をおけるのです。」とウィーバーは語ります。
ウィーバーは他にもヴィヴィアンウエストウッドのファッションショーなどにSkyPanel S60-Cを使用しています。2017年にはスイス人ミュージシャン、ステファン・エイシャー(Stephan Eicher)のドキュメンタリーの照明に使用しました。「ARRIを使用すれば、すべてがうまくいくのです。」と彼は言います。モンペリエで開催された2022年フィギュアスケート世界選手権では、フランスのイベント管理会社、GB4Dがウィーバーに委託し、ARRIのさまざまな競合会社の製品もテストするよう依頼しました。この「初期キャスティング」において、SkyPanelは唯一すべての照明要件を満たし、最善の選択肢であることを証明しました。注文はベルギーのレンタル会社が行いました。最終的にウィーバーと彼のチームにとってフィギュアスケート世界選手権は、大成功を収めた素晴らしいイベントとなりました。