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ARRI Multicamで「StayLive」コンサートを撮影

プロデューサー、ディレクター、カラーリスト、エディター、ドキュメンタリー映画製作者から見た、ライブイベントにおけるARRIカメラの利点とは?

Apr. 30, 2021

ドイツでは他国同様、ライブギグがない年は、コンサート会場やミュージシャンたちは経済的打撃を受けます。 オンラインコンサートシリーズ「StayLive」では、ドイツの放送局ZDFkulturは、NPO法人Initiative Musikと代理店Turbokulturと協力してイベントの中止が相次ぐ音楽業界の支援に取り組んでいます。 制作会社Neoxfilmのプロデューサー兼ディレクターのマーク・シュートランプフ氏とカラーリスト件編集者のクリストファー・ストックル氏に、12のライブコンサートの撮影にARRI Multicamを選んだ理由について語っていただきました。 また、ドキュメンタリー映画製作者のトバイアス・ コッペ氏には、ALEXA Miniが舞台裏のドキュメンタリー撮影用カメラとして選ばれた理由を説明していただきます。

ライブ用に組み立てた、ARRI Multicamのセットアップについて説明してください。

マーク・シュートランプフ:全部で5つのARRI AMIRAを使用しています。Easyrigのカーブしたレールに2つのドリーシステムを搭載し、ステージなどのさまざまな方法で使用・配置されました。 このセッティングはオーディエンスエリアの真ん中に配置した特設ステージに特に役に立ちました。 また、最大11人のパフォーマーを抱える大きなバンドは、ステージ上を自由に移動でき、カメラオペレーターと同じ高さで演奏できるため、自然な感じの撮影が可能でした。

ARRI Multicamは通常の標準的なショットを超えて、映像をさらに向上できます。焦点距離が広い場合でも、被写界深度を狭くすることができるので、オーディエンスに歌手や別のパフォーマー、または指導者に向けさせることができます。従来の2/3インチカメラのように、すべてにピントが合っていて、イメージを形成することができないのとは大きな違いです。また、今回のプロジェクトで素晴らしい仕事をしてくれたカメラオペレーターにとっても、より刺激的なものになっています。

AMIRAとFUJINON Cabrioズームレンズを組み合わせることで、必要に応じて焦点距離をすばやくスムーズに変更することができました。 まるで5台以上のカメラがあるかのように、状況の変化に非常に迅速に対応できるようになりました。 ARRI Multicamは、全体的に柔軟で高品質のセットアップを提供してくれました。 映画のように迫力満点な映像にすることを常に心掛けていますが、このシステムを使えば、それが可能になります。

ARRIカメラを使うことで、ライブの照明に違いが出ましたか?

マーク・シュートランプフ:テストをしてみましたが、映像に影響なく、照明を強くできます。 強めのスポットライトでさえ、完全にレンダリングされます。 たとえば、ステージショーでヘビーロックバンドが登場して、強い点滅ライトを使用したのですが、AMIRAはすべてきれいにキャプチャーしました。  

クリストファー・ストックル:他のカメラでは、光の強度が一番強いとき、光源の真ん中に黒い斑点ができますが、 ARRIカメラにはそのようなことがありません。これは非常に大きな利点です。 

マーク・シュートランプフ:幅広いコントラストのキャプチャは、自宅で映像を見るオーディエンスでさえその価値を容易に認識できるほどの違いをもたらします。 私たちが行ったカメラテストでは、AMIRAは露出不足と露出過多の両方をクリアしました。 イメージやスポットが極端に押し出された場合でも、カラーは他のカメラよりもはるかに優れています。 それが、私がARRI Multicamを選んだ理由の1つです。 フレーム内のライトについて信頼できるものを使いたいと考えていましたが、その結果に感動しました。 画面やテレビ上で映像を見ると嬉しくなって、つい子供のようにはしゃいでしまいます。 

60年代後半にザ・ローリング・ストーンズの伝説の映像作品「ロックンロール・サーカス」と呼ばれるものがありました。この作品は、新人や友人、ロックスターが小さなセンターステージで一緒に演奏するというコンセプトで、全体が16 mmカメラで撮影されました。 友人や他のミュージシャンが共に音楽を奏でるそのスピリットが、アナログフィルムよりもさらに優れた画質で、再びステージ上で再現されたことに、非常に感動し、圧倒されてしました。 

小さなダイナミックレンジでは、とてもこのコンセプトを追求することはできませんでしたが、これは柔軟で変化にとんだものにすることができました。ポップバンドから、輝く衣装を纏ったラスベガスのきらびやかな魅力、ヘビーメタルまで、12のバンドを撮影し、 そのパフォーマンスごとに異なる外観やジャンルを演出することができました。

LUTで外観を変えることはできましたか?

マーク・シュートランプフ:Log Cで記録し、プリプロダクションで開発した基本的なLUTがありました。 次に、特定の色を強調したり、コントラストを調整したりして、さまざまなジャンルや外観に合わせて2~3つのLUTを追加しました。 LUTで微調整すると、画像はすぐに反応してくれます。 センサーの感度が非常に高いのが、他の一般的なフォーマットやシステムとの一番大きな違いです。 ARRI Multicamは、非常にカラーをレンダリングしてくれます。例えば、黒は真に真黒です。 LUTをクリエイティブで簡単に組み込めることが、このシステムの大きな利点です。

クリストファー・ストックル:バンドが演奏しているものに合わせて色を調整しました。 例えば、軽めの曲を演奏しているバンドには彩度の高い色を、ヘビーロックを演奏しているバンドには青またはモノクロの色を使用します。 ARRIカメラにはあらゆる可能性があり、制限がありません。 すべてのカメラからの映像が非常によくマッチしていることもあり、イメージはグレーディングシステムで簡単かつスピーディーに操作できます。 また、色のマッチングに多くの時間を費やす必要がなく、制作のムダが省けます。

舞台裏のドキュメンタリーの撮影にALEXA Miniを選んだ理由を教えてください。

トバイアス・ コッペ:ほとんどのプロジェクトにARRIを使用しているのですが、中でもALEXA Miniを愛用しています。 ProResコーデックは、他のカメラメーカーのいわゆるRAW形式よりも多くのことができるので、気に入っています。 2つのALEXA Miniを使用し、Angenieux製OPTIMOズームレンズで撮影し、LogCで2K配信形式で3.2K ProRes 422HQをキャプチャーしました。 通常ProRes 4444で撮影しますが、422HQはデータラングリングに役立ちます。 

ディレクターにさまざまなオプションを与えることができるため、LUTも重要なのですが、そのメリットが限られており、作業もより複雑になるため、各フィルムに2つ以上のLUTを使用することはありません。 いくつかのLUTをミックスして使用し、グレードで少し短めに引くことができました。 これにより映像の見栄えがとても良くなり、ドキュメンタリーに親しみのある雰囲気を与えることができました。 

ライブ映像を見るには、こちら(https://www.zdf.de/kultur/stay-live
にアクセスしてください オープニングの画像:: ©Georg Wehle